平良愛香牧師によるゲスト講演

2023年6月29日に、平良愛香牧師が「ぼくがゲイでよかったこと」というお話をするため、ご多忙のなか清泉にいらしてくださいました。


この貴重なゲスト講演は、英語英文学科専任講師・太田の英語学基礎演習「洋楽で時事問題を語る」という授業の一環としても行われたものでした。

この授業では、洋楽を「なんとなく聞き流している音」から、「歌手の想いと社会のあり方が生き生きと、時に生々しく反映されたことば」として捉え直す、言い換えれば、洋楽を教材として繰り返し聞き込むことで時事問題を理解していく、という英語学習法を採っています。

履修者8名で、和気藹々と行われているクラスです。


LGBTQ+の権利を啓発するプライド月間(Pride Month)の6月にお招きすることとなった、沖縄出身の平良さんは、 日本で初めて、男性同性愛者であることを公表した上でキリスト教の牧師になった方です( ↓ ご講演の内容は、大学公式広報で紹介されております、ぜひご覧ください)。

平良さんのご講演の前後には、ロンドンを拠点に活動している、新潟県出身のシンガーソングライター・ファッションモデル・俳優であるリナ・サワヤマの楽曲を2曲、学生に紹介しました。

1曲目は、リナが2018年9月にリリースし、自身がパンセクシュアル(pansexual: 恋愛対象となる相手の性別・ジェンダーを問わない性的指向)であることをカミングアクトしたCherryという楽曲。

2曲目は、東京五輪閉会式のエンディングで、エルトン・ジョンとのコラボレーション・バージョンが流された、2020年4月リリースのChosen Familyです。

そして、平良さんのご講演後、次のミニ・レポート課題を出しました。

=====

1)Cherryのオープニングは、"Hello, can I speak to... Oh, never mind."という、 歌詞ともセリフともつかないリナの声で始まります。一体リナは誰に電話をかけて、何を言いかけていたのでしょう?授業や、平良さんのご講演や自分自身での調査を踏まえて、1000字で書くこと。

2) 平良さんのご講演に対する感想を、Chosen Familyで学んだことと絡めて、1000字で書くこと。

=====

学生のレポートをそのまま紹介することはできませんが、多かった反応として、平良さんが配布してくださった「セクシュアリティについての用語集」に〈当日限り有効〉という注意書きがしてあることが大変新鮮で、言葉の大切さ・脆さを改めて知ったという意見が挙げられます(平良さんは「用語集」で、「用語というものは、時と場所および使う人、使われる状況によって変化するものなので、有効期限を定めました。一人歩き防止」との括弧書きをなさっていました)。

また、Cherryのオープニング解釈では、リナの昔のボーイフレンドではないか、新しく恋に落ちた女性ではないか、はたまた両親ではないか、と、さまざまな答えが出てきました。平良さんが「僕の5つのカミングアウト」として、ご自身の体験をゆっくりと、大切に、愛おしく、かつ力強く私たちと共有してくださったおかげで、学生は、リナに会った事がなくとも、リナに必要であったカミングアウトの恐怖感・躊躇・戸惑い・諦め・勇気をCherryから確かに感じ取れるようになったようです。こうして、ご講演という生の声を受け止めることによって、学生は、声にならない声を上げる性的少数者に対する理解を深める事ができたのではないかなと思います。


平良さんに改めて、心より感謝申し上げますとともに、「洋楽で時事問題を語る」の授業を履修している学生が、「自分ごと」として大切に講演の日を覚えていてくれると嬉しいなと思います。


... 平良さんについてもっともっと知りたい!という方は、以下をご参照ください!

⭐️2021年1月27日放送 TBSラジオ「アシタノカレッジ」

「平良愛香  牧師というお仕事とは?」

⭐️2016年5月27日, 30日 LGBTER Interview 等身大の「私」を、まだ出会っていない人たちへ届けませんか?「すべての人が、その存在を認められる社会に【前編・後編】」

⭐️2021年1月12日 沖縄タイムス「「人と違うことはかっこいい」同性愛者を公表して牧師になった平良愛香さんインタビュー【WEB限定】」

⭐️2017年11月24日出版 『あなたが気づかないだけで神様もゲイもいつもあなたのそばにいる』学研プラス

以上

VERITAS et CARITAS

SEISEN UNIVERSITY Department of English Language and Literature Official Blog / Digital Archive